Women in Police Force (2)

Yoshie Suzuki, Promoted in February 2021 to Chief of Ueno Police Station, Becoming the first female senior superintendent.

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警視庁で今年2月、同庁採用のノンキャリアで初となる女性警視正が誕生した。命を脅かす犯罪への対処など、危険な職務も少なくなくかつては「3K(きつい・汚い・危険)」職場とされた警察。体力的な面などからも女性の進出には苦労も多いと思われるが、警視庁は令和7年度末までに全職員の12%以上、管理職に占める割合を4%以上にする目標に掲げる。警察における女性の役割は高まっている。

 

 

戦災孤児の保護などがスタート

 

令和2年4月1日時点で、警視庁の約4万人の警察官のうち、女性が占める割合は10・2%だ。幹部では警察署の課長代理など業務管理の要として部下の指揮監督にあたる警部が3・6%。署長や副署長などを担う警視は3・0%となっている。

 

同庁は日本で初めて女性警察官を採用した警察だ。

 

先の大戦終結から間もない昭和21年、社会が混乱する中、児童を対象にした防犯活動、戦災孤児となった少年らの保護、女性の絡む犯罪や風俗の取り締まりなど、女性に向いた分野を担当してもらおうと、「婦人警察官」の募集をかけた。

 

定員65人に対し、応募は1673人と倍率は約25倍に。1期生として、63人が採用された。その後、女性の採用は全国に広がり、47年度末には16都府県の警察で1844人が勤務。61年施行の男女雇用機会均等法などを受け、女性の職域を広げる県警が増加した。

 

全国すべての警察で女性警察官が採用されたのは平成6年度。同年には警視庁三田署に全国初の女性署長が誕生した。その後、婦人警察官から女性警察官へ名称を変更。令和2年度、全国の女性警察官は2万6664人、全体の10・2%を占めるまでになった。

 

男女共同参画白書によると、15~64歳の女性の就業率は平成25年以降、増加を続け、13年の57・0%から令和元年には70・9%と大幅に増えた。

 

一方、常用労働者100人以上を雇用する企業の役職者に占める女性の割合は課長級が11・4%、部長級は6・9%に留まる。警視庁も、令和2年4月1日時点で管理職に占める女性の割合は2・9%。職員の意識改革や女性の働きやすい職場づくりを推進する「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げ、活躍の場を広げる取り組みを続ける。

 

 

「女性ならではの視点、アイデアを生かす」

 

今年2月、警視庁採用のノンキャリアでは初めて「警視正」に就任した上野署の鈴木佳枝署長は「女性が働きやすい職場は、ひいては男性も働きやすい職場になる」と力を込める。

 

全国の警察を統括するトップは、警察階級が適用されない「警察庁長官」。警視庁トップで警察階級最高位にあたる「警視総監」、さらに「警視監」「警視長」に次ぐ地位にあたるのが警視正だ。部長職や、大規模警察署の署長に配属される重要ポストに就く。

 

女性警察官は、交通取り締まりなどを担当する「交通課」や、女性・子供にかかわる業務などを管轄する「生活安全課」に配属されるケースが多かった。昭和58年、警察学校を卒業した鈴木さんも池上署交通課に配属。「女性警察官は本当に少なく、こんなに増えるとは思わなかった。今ではさまざまな部署に配属されるようになった」と話す。

 

女性警察官の活躍の場を広げるターニングポイントにたびたび関わってきた。女性警察官を初採用することになった長野県警に平成元年から2年間出向。警察学校で女性警察官を教育する体制づくりに尽力した。

 

25年には警視庁が立ち上げた「女性活躍推進プロジェクト」の初代リーダーに就任。プロジェクトでは女性管理職を「キャリア・アドバイザー」に指定し、体験を語る講演などでキャリアアップを支援する。また経験豊富なメンター(助言者)が後輩らの課題解決を支援する「警視庁メンター制度」も推進した。

 

同じく警察官の夫と娘2人を育てあげ、「大変だったが過ぎてしまえばいい思い出」と笑顔で振り返る一方、「女性は育児休暇取得などの関係で男性と比較して昇任意欲が低い」とも指摘。「きめ細やかな思いやりや共感力を生かし、女性ならではの視点、アイデアを仕事に生かしてほしい」と後進に期待する。

 

上野署は上野駅をはじめアメ横商店街や美術館、秋葉原などを管轄する大規模警察署だ。「期待に応えるため、安全安心な上野の街をつくっていきたい」と意気込みを新たにした。

 

筆者:吉沢智美(産経新聞)

 

 

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